【活動レポート】大人の社会科見学 1 ~PIECES編~

新たな企画、「大人の社会科見学(※)」がスタートしました。

(※)社会課題に取り組む方、社会に新しい価値を提供しようとしている方など、私たち子育て中の母に「新たな視野をシェアしてくれる方」をゲストにお招きし、育休コミュニティメンバーが、zoomを通じてその取り組みや想いを聞かせていただく会。まさにオンラインバージョンの「社会科見学」です。

第一弾となる2018年12月19日のゲストは、子どもの孤独の問題に取り組むNPO法人PIECES(https://www.pieces.tokyo/)の荒井 佑介さん。


NPO法人PIECES:

貧困、虐待、不登校などの背景にある「 子どもの孤立」を予防し、健やかで豊かな「生きる」を紡ぐために、子ども達と信頼関係を築いていくコミュニティユースワーカーの育成や子どもと繋がっていく場を設けながら、社会課題の解決に携わっておられるNPO法人。

児童精神科医の方を代表とし、荒井さんは副代表をつとめられています。


【Part1. 荒井さん講話】

PIECESさんが扱う課題は、こども、そして私たち母にとって、すぐ傍にあるはずなのにふだんはほとんど見えてきません。

今回は、その最前線におられる方からじかにお話を聞けるという、とてもありがたく貴重な機会でした。

画面に登場した荒井さんは、表情も話しぶりも穏やかで柔らかく、世の中の問題と日常的に相対されているとは想像しにくいほど。

それでいて、深い経験と膨大な情報収集、それに基づく思考から整然と話を進めていかれました。

そんな荒井さんが活動を始められたきっかけは、大学生のころ、駅で具合が悪そうなおじさんを気づかって声をかけたこと。そのおじさんはホームレスで、それから毎週話をするようになったそう。ちょうど若者のホームレスも多い時期で、そこから荒井さんは「子どもの貧困」に関心を持つこととなります。

一人親、パートの掛け持ちで高くない収入、小さくて乱雑な住居に家族がひしめく生活、学校でのやや「やんちゃ」なグループへの所属、家出、水商売と言われる職業への従事、など・・・が、子どもの「7人に1人」にとっては日常であり、そしてこれらが積み重なっているという事実があります。

これらは、見えにくいけれど身近にあること、そして、そこに近づくのも離れるのも、キーワードは「人との関係」だということ。

誰かに助けを求めるのは気が引ける、かっこ悪い、足元を見られたり裏切られて傷つくかもしれない・・・

その気持ちがあるから、「誰かに頼りたい」といえない。

「何かしたい」と思う側も、「そう思われるかもしれない」と予想してためらってしまう。

そういった人々を、一軒屋まるごとつかった「居場所」や「ゲーム」を使いながら「つなげる」ことにもかかわってきた荒井さん。そこで家族以外の誰かとうまくつながり、多くの子どもたちが回復していくそうです。

「そういうつながりは、今後お金よりも大切なものになっていくのではないか」との言葉もありました。

ただし、子どもたちと誰かをつなぐ際には、善意だけでない人が入り込まないよう、フィルターもかけておられるとのこと。サラリと語られていましたが、きっと人間のさまざまなうらおもてが、嫌でも見えてくるお仕事なのだろうなと想像しました。

それでもニュートラルにいるために、ご自身に対してはアスリートばりに管理記録をつけ、ときにはきっちり休む。相手に対しては、立場や気持ちを理解しようとしているそうです。この姿勢で考えることで、子どもの行動も「タバコを吸っている→悪い子」ではなく「タバコやお酒が常に周りにある家庭環境だった→タバコを吸うようになった子」というように理解でき、「手助けが必要な子なのかもしれない」と考えられるそう。

そうやって相手を理解した上で、今より少しだけ「寛容な人・社会」になれば、「生きづらさ」が減ってくるんじゃないか、ということでした。


【Part2. 育休コミュニティメンバーからの質疑応答】

Q:身の回りに気になる子や家族がいたらどうすればいい?

A:まず関心を示す。そして、ただ話を聞いて受け止める。

本当に「問題かも」と思ったら、PIECESのような団体や行政の窓口に相談を。あて先が違っていても、適切な相談先を紹介してくれるはず。


Q:心を開くのは大人でも難しい。子どもとコミュニケーションをとるとき、期間はどのくらいで、どんなことに気をつけている?

A:PIECESが子どもと接する方々へ対して行っている研修は半年。

その中で「自分がどんな人間か・どんな価値観を持ってるか」を自覚しコントロールすることを学ぶ。

1人の子どもと向き合う時間も半年くらい。「会ってみてもいいかな」→「話してもいいかな」→「相談してもいいかな」の3ステップを経て信頼関係につながることが多い=それなりに時間が必要。

無意識に「自分の価値観」が現れてしまうと子どもとの信頼関係は築けない。


Q:長い目でみて「こういうことやりたい」というものはあるか?

A:今の活動を続けたい。また、自分たちがやっていることを「やりたい」と言ってくれる方々とのネットワークを作る、NPOと、別に「収益」を得ることとの両立、などに対しての使命・責任なども感じている。


Q:うまく行かないことへのモヤモヤをどうコントロールしているか?

A:自分が何にイライラするのか理解する、相手の後ろに何があるかを理解する。

組織内でも、メンバーそれぞれモヤモヤを吐き出す場を設けている。


Q:こういった社会課題の根本にあるものは何だと感じる?

A:「社会の価値観」「社会の不安感」が強い。社会は暗い、というイメージが強い。「自己責任(ある人の問題はその個人の責任)」というイメージも強くなっている。

ネット掲示板の書き込みなどは、自分が「レールを外れること・外れたら助けてもらえないこと」への不安の裏返しで「ちょっとレールを外れた人」を攻撃しているのでは。


親として「子どもがSOSを出してくれるか・それに気づけるか」ということに、一抹の不安を持つ方は多いかと思います。万が一、自分の子どもが「何かおかしいかも・・・?」と感じたときに、相談先の手がかりが1つでもあれば、少しでもその不安は和らぐのではないでしょうか。

そんな手がかりが気になる方は、ぜひPIECESさんのWebサイトをご覧ください。