【活動レポート】 育休、いいとも!第3期vol. 2「自分の"心"を大事にした選択で バリキャリフリーランスから専業主婦へ」
今回の「育休、いいとも!」では、湘南の地で、7歳・2歳のお子さんと青空の下で過ごす毎日を送る田中青佳さんをゲストにお迎えしました。
★育休、いいとも!とは・・・
育休をユニークに過ごした人や、育休で人生を変えた人をゲストに迎えて、オンラインでお話をお伺いする会です。
青佳さんは、森を散歩したり、野生の木の実でジャムを作ったり、海で遊んだり、専業主婦として育児を満喫中。
しかし、そんな青佳さん。
つい5〜6年前までは「仕事命」のバリキャリフリーランスだったとか…
なぜ仕事を手放せたの?子どもは自然の中でどう変わる?等、気になる話を聞いてみました。
★「専業主婦」を選択するまでのバリキャリ時代
つい5〜6年前まで「仕事をしないと死ぬ」みたいなタイプでしたね(笑)
会社員時代は、IT系企業の営業職で夜遅くまで働き、ライター兼ディレクターとして独立してからも優先順位は常に仕事が一番。
「女性を笑顔にする」というコンセプトでコンテンツの企画・開発を行っていたので、やりがいもありお金ももらえる仕事って最高!と思っていました。
★フリーランスで、結婚、妊娠、出産。母になりきれないジレンマ
仕事の内容も時間も、自分の裁量で調整できる働き方は自分に合っていたことで、増々仕事にのめりこむ日々。
結婚・妊娠もしましたが、出産予定日にまで働いていて、助産師さんに叱られるほどでした。産後も、3ヶ月間の休養期間を経て再稼働。仕事も育児も同時にできるので満足感がありました。
とは言え、難産だったこともあり体は限界。しょっちゅう体調を崩していましたね。
今思えば、働きたい自分の方が母親である自分より勝っていたのだと思います。
産んだだけでは母親にはなれない。子どもとの時間を積み重てねて、初めて母親になれるのかもしれません。
★どんな子育てをして、どんな毎日を送っていく?晴天のある日、出た「答え」
保育園に預け始めてからは、子どもが体調を崩すことが増え、受けられる仕事の質も単価も下がってしまいました。
わが子と遊びながらも、心の中で「早く寝ればいいのに」と思ってしまったりして、人生最大のモヤモヤ期に突入!正直しんどかったです。
そんな折、当時の保育園の先生から「娘ちゃんは、よく行く公園で仲のいい木があるんですよ」と言われたことがあって。
常々、自然に対する感度が高い子だなぁと感じていたこともあり「自然の中で育ててあげたい」と思うようになりました。
決定的になったのは、ものすごく天気がいい日に思い立って、急遽保育園も仕事もキャンセルして、そのまま自然のある公園まで自転車を走らせたこと。
衝動に素直に動いた結果、私も娘も笑顔で一日を過ごせたことで、いよいよ気持ちが固まってきました。
★衝撃!子どもが自由に森の中で過ごす青空保育の世界
そうこうして湘南に引っ越してからも、フリーランスのまま仕事は続けるつもりでした。
しかし保育園に入れず、仕事はあいかわらず受けられない状況で、この先どうしようと思いあぐねているときに出逢ったのが「青空保育」でした。
見学にいって、もう唖然。小さい子がお母さんの手から離れて山を歩いていたり、子どもたちの口からのびる(食べられる野草)飛び出していたり…。
園舎もなく、フィールドは常に山や海。基本、大人は黒子となり子どもを見守るだけ。
自分が見てきた保育の世界と全く違っていて度肝を抜かれると同時に、コレだ!と思いました。
★青空保育を始めて感じた変化。
土の上で過ごす日々となって感じたのは、娘が生まれ持った資質が開かれたということ。
花と話してたり、自然のユニークなものを見つけて眺めていたり。そんな姿を見られるのは幸せなことでした。
私自身も、今までと全く異なる日常にたくさんの刺激を受け変化がありました。
仲間の母たちも、幼稚園や保育園にいくという当たり前の選択をせずに青空保育に行き着いた人たちだからかユニークで、みんな自然で楽しむことが上手。
そして、なんでも作っちゃう。味噌、焼き菓子、梅ジュース、どんぐりクッキー、シードル…。
「手作りは面倒」ではなく、やってみると面白いことだらけ!主婦業にこんな楽しみが眠ってるんだなと知りました。
★私が見たいのはPC画面ではない!
もうひとつ、私の背を押してくれたのは、緑内障の中度と診断されたことでした。
緑内障は日本人の中途失明の原因第一位。もしかして私、失明するの?そう思ったら「自分が見たいものはパソコン画面ではない。子どもが自然の中を走り回る姿だ」と本能的に感じたんですね。
「仕事をやめる。青空保育を始める」という思い切った選択が出来たのは、病気のおかげ。
一見ネガティブな出来事が人生を動かしてくれることもある。身をもってそう感じています。
★「働く」を手放して。
経済的に自立できていないのではとか、もし夫に何かあったら?といった葛藤や心配事は、今もないわけではありません。
でも、自分の常識を1つ壊して「今、私がしたいことは何だろう」と見つめる時間を持って行き着いた現在だから、すっきりした気持ちです。
仕事を手放して5年経った今だから言えることですが、以前は「仕事をしていない自分には価値がない」と思い込んでいたように感じます。
少子高齢化で働き手がほしい時代に求められる女性の生き方。働きたくても働けなかった先輩女性たちの言葉。それらを素直に受け取り、自分もそうするものだと思っていたのです。
でも、それは私の心が求める「本当にしたいこと」ではなかったんですね。社会の流れを切り離して自分がどうありたいかを、手と足を動かしながら突き詰めた結果出た答え。
それは「私は、目の前にいるこの子を自分の手で育てたい」という願いだったのです。
★葛藤はチャンス。思い描いた未来にいなくてもいい
子どもはお母さんの全部がほしいと全身全霊で向かってくれますが、時間は有限で、母親自身がやりたいこともありますよね。
たくさんの方がジレンマを抱えていると思います。
でも、その揺れる心こそが自分の心と向き合わせてくれるし、新しい未来に引っ張っていってくれると私は経験上思います。
私自身、未だに、両立できたらよかったのかなとか初志貫徹できなかった自分への失望もないわけじゃないし、バリキャリな姿を知っているみんなをガッカリさせたのではと思うこともあります。
それでも「今の自分、今の生活も悪くない」とOKを出せるになった。自分が思い描いた未来にいなくてもいい。今心からそう思います。
★子どもたちの未来のために、社会の流れに目を向ける
今までの話と一見関係がないように思われるかもしれませんが、社会の流れにはしっかり目を向けてほしいと思います。
政治、経済、環境問題、インフラ、社会の機運は、私たちの日常に大きく影響していますし、今、日本はとても大切な局面にいるように感じます。
知らない間に自分や家族を取り巻くいろんなことが変わっている可能性だってあるし、生き方や思想は、社会と無関係ではいられません。
育児にいそがしく情報収集も難しいときには「この人の発信は信頼できる」というキーパーソンが見つけられるといいですね。
私自身は、不定期にですが新聞を何紙か読んだり、テレビ・ネット・SNSなど、偏りがないよう複数のメディアに目を通すようにしています。
また、いつもではありませんが、国会中継を視聴しています。興味のある話題だけでも見てみれば、気付きもあるし、驚きの連続のはず。
平日の昼間にテレビ中継しているので、育休中は視聴のチャンスかも。ぜひ一度見てみてください!
自分の人生を生きるために。次世代の生活を守るために。意識してほしいです。
★大人も子どもも地球で遊ぼう!
川の流れを感じながら、生きものに触れながら…自然の中で「地球の上で遊んでいる」感覚のとき、子どもたちって本当にいい顔をします。
そんなわが子の顔を見られるって最高に幸せだし、大人も楽しいです!
私はストイックに移住や仕事を辞めるという選択をしましたが、週末でも近所の公園でも、意識さえあれば、そんな時間は必ず持てます。
都会の草木だって驚くような逞しさで、小さな循環の世界を見せてくれますよ。
また、自然の中で遊びたいけどどうしていいかわからないという方は、ぜひ仲間や先輩をみつけてください。
あなたが願うのなら、必ず同じように考えている人がいるはずです。
また、地域の自然遊びの会に顔を出してみるのもいいですよね。その地域ならではの注意や楽しみ方をレクチャーしてもらえると思います。
すべてのお母さんが、わが子の輝く瞬間を目にできるように。同じように悩み葛藤する母親として皆さんを心から応援しています。
私のように平凡な人間の、けれどちょっとイレギュラーな話を聞いていただいて、本当にどうもありがとうございました!
Q&Aから…
Q.青空保育ってなんですか?
自然の中で保育を行うこと。定義はなく、少人数のところから園舎を持つ大規模なところまで内容も規模もさまざまです。
私の娘が所属していた団体は、園舎はなく、専任の保育者と、当番制で母親が保育にあたっていました。
森のようちえん、自主保育等の表現で活動されているところもあります。
参考までに、私の娘が所属していた団体のホームページをご紹介します。
活動内容など参考になさってください。
▼青空自主保育でんでんむし
https://aozoradenden.wixsite.com/jishuhoiku
▼興味ある人にオススメの参考書籍&ホームページ
・土の匂いの子/相川明子著/コモンズ
鎌倉で青空保育を実践されている保育者さんの本。
私が青空保育の存在を知ったきっかけにもなりました。子や親の変化についても詳しく触れられています。
・センスオブワンダー/レイチェル・カーソン著/新潮社
子どもが自然の中で、美しいもの、未知なもの、神秘的なものに気付き感嘆する感性について書かれています。
いかに自然が子どもたちにとって大切なものであるかを再認識させてくる本です。
・青佳さんのInstgram
https://www.instagram.com/sei.uchi/
青空保育の日常や母の気持ちなどを発信されているとのこと。興味のある方は是非ご覧ください。
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バリキャリ、フリーランス、専業主婦、青空保育などキーワードだけだと自分の選択とは違う遠い人だと思っていました。
お話を聞く中で、わたしたちと同じように自分の選択に悩みながらも、前をみて「自分に素直に生きる」ことを体現している、強くそしてしなやかな人だとグッと身近な存在になりました。魅力溢れる青佳さん、ありがとうございました!
(文責:中村枝里子)
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