11月17日(日)MIRAISイベントレポート(前編)

11月17日(日)、東京都渋谷区にある株式会社LiBのイベントスペースにて、同社 代表取締役CEO松本洋介さんによる【育休中&復職直後向け キャリアイベント】を開催しました。

もともとは、松本さん発信の【1on1キャリア面接】にMIRAISメンバーの多くが手を挙げて参加したのがきっかけ。「面接は出来なかったけれど、キャリアについて私も相談にのってほしい」「話が聞きたい」そんな声が多く集まり、今回特別に松本さんに話をしていただけることに!

集まったのは、育休を経て職場復帰をしたMIRAIS一期生と二期生のメンバー。

本日はその様子を前編・後編に分けてレポートします。


自分のキャリアについて考え、明日からアクションできるヒントを得られるような場に

4月から復職をしたメンバーがほとんどのMIRAIS一期生。復帰から約半年経ち、皆んなの口から出てくるのは「なんかモヤモヤしてるかも」ということ。

それぞれがテーマに沿った充実した育休を過ごし、満を持して復職してみたものの「思ったような成果が出せていない…」と感じたり「このままこの会社で働き続けられるのだろうか」「思ったように両立できていない」と不安になっているメンバーも。

前編は、そんなMIRAISのメンバーたちの「モヤモヤ」に松本さんが答えます。

第一部は、松本さんとMIRAIS代表の栗林のトークセッションからスタート。

――松本洋介さんが株式会社リブを立ち上げたきっかけを教えてください

(松本さん)株式会社LiBは、2014年4月に設立した会社で100名の仲間がいます。女性を対象とした、ライフキャリア支援を行っていて、メインの事業は女性向けの転職支援事業を運営しています。

LiBを創業する前は、リクルートで営業を経験したのち、女性向けのPR・マーケティング会社の役員をやっていました。そこで女性の流行りの敏感さ、購買力の強さを目の当たりにしました。大手広告会社に集まる広告の7割も女性向けと言われています。

一方で、女性をターゲットにしている企業は多いのに、そこで働く会社には女性がいないことにギャップを感じていて(年のいったおじさんばかり!)。また当時は、一緒に働くメンバーも女性が多かったのですが、なんだかずっと悩みを抱えて走っているな、と。就活のタイミングから子どもが出来たときのことを考えたり、相手がまだいないのに結婚した後のことを考えたり。企業にも女性が必要、女性にとってもキャリアは必要だよな、と考えたときにいいマッチングができるのではないか、と思ったのがサービスづくりのきっかけです。

――女性の転職・キャリア支援の企業が増えている背景は

(松本さん)やはり副業の解禁、働き方改革の影響があるのではないでしょうか。以前は国の産業全体が伸び、企業もどんどん成長していました。その代わり会社からはしっかりロックされて「定年まで働いてね」という終身雇用の時代でしたよね。

今は、企業が伸び悩んでいてお給料が上げられない。ある意味、副業解禁は、企業にとってラッキーで、お給料の上げ幅や野心のようなものを外で満たしてもらえる。

そういった背景は、個人の野心、やりがい、キャリアの境界線を溶かしている反面、個々の不安が増しているのかな?とも感じています。「早めに帰宅して何をしよう」とか「自分のキャリアどうしよう」とか「100年時代って言われたぞ」とか。

特にその不安が顕著に出ているのは女性なので、それをソリューションしたい、という企業が増えているのかな、と思います。

――栗林が、育休コミュニティ「MIRAIS」でたくさんの育休中の女性と接してきた中で感じることは?

(栗林)今まで育休中のMIRAISのメンバー200人くらいと関わってきました。「将来的に転職をしたい」と具体的に考えているメンバーもいれば「復帰したらどうなるか不安」「このまま会社に復帰していいのか」というそもそものキャリアに対して不安を持っているメンバーもいました。不安の払拭を育休中のテーマ(※1)にしているメンバーもいたし、テーマにはしていなくても、潜在的に不安を抱えている人は多かったと思う。育休中は時間があるんですよね。時間があるから、考えれば考えるほど不安を感じてしまい闇に陥りがちだなぁと。

(※1:MIRAISの活動の1つは、個々が自由に育休の「テーマ」を決め、行動、振り返りをすること)

(松本さん)育休中にテーマを決めるのはとてもいいことですよね。テーマを決める一番の効用は集中して何かに取り組めるということですよね。余計なことを考えずに済む。ちらちら他が映るとか、集中できていない状態はすごく敵なんですよね。

MIRAISのメンバー数十人とキャリア面談をして傾向があるな、と思ったのは、皆さん「自ら悩みを作っている」ということです。真剣に課題にぶつかっていて「この課題どうしましょう」というよりは、「なんとなく先が不安」「この会社でやっていけるか不安」という悩みが多い。

このように色んなノイズが渦巻いているように思います。なので、はっきりしたテーマを決め、一旦はそれに集中して走ってみる。「これだけはやりきる」とか「これは絶対決着をつける」とか。ノイズを減らしてそこに集中してみるのがいいと思います。

株式会社LiB 代表取締役CEO松本洋介(右)とMIRAIS代表 栗林(左)


――既に復職して毎日忙しいはずなのにモヤモヤを抱えているメンバーも多くいます

(松本さん)先ほどの話は主に育休中にハマりがちな「悩み」の話ですね。

復職後でいうと、まず「悩み」なのか「課題」なのかを整理したほうがいいです。「悩み」は解決したいところまで「課題」が決まっていない状態のことです。私たちの会社ではそれを「モヤモヤ」と言っています。

私たちの会社は「女性のモヤモヤ」について研究し、「モヤモヤ構造化マップ」というものを作りました。

研究した結果で言うと、「モヤモヤ」が発生するのは、個人の問題ではありません。「私はモヤモヤが発生しやすい性格なのかな」などは一切なく、みんなに起こりうる。それは、日本における社会常識、親から刷り込まれた価値観、身体的なバランスの制限(子どもを持てるリミット)、(男性と比べて)日本全体の女性の経済力の低さなどから起きてしまうんですね。

なので、モヤモヤを感じた時に、自分の不安の根源はどこから来ているのか、が1つ分かるだけですごくスッキリします。手を変え品を変え、いろいろな不安を言ってきたけれど、「ぶっちゃけ自分のモヤモヤや不安の原因は収入だ」と分かると、あとはいかに給料をあげるか、という話になりますよね。

モヤモヤを課題まで昇華するという作業はとても大事です。

――「モヤモヤ」をそのまま放っておいて日々のタスクに追われてまた「モヤ」に戻ってくる、そんな人もいますよね

(松本さん)子どもがいる働く女性たちは忙しいですからね。難しいところです。目の前のやること(日々の仕事、家事・育児)と戦っているうちに1日が終わってしまう。

でも、モヤモヤは放っておいても昇華されるものではありません。むしろ放っていくと悪化してしまう。 

「モヤモヤの根源はどこから来ているのか」というのと「自分自身の力で解決できるものなのか(可変か不変かなのか)」を整理することも大事です。「不変」であるときは、割り切ることも大事ですよね。

―――働きながら子育てする母ならではのうまくやっていくやり方、キャリア構築の仕方はありますか

(松本さん)このタイミングで言うな、と思われるかもしれませんが、「前倒しキャリア」と言われるように、やはり産む前が勝負、という気もします。また身も蓋もない話をいいますが(笑)、皆さん、ぜひ後輩にはそう伝えてください。

お子さんを産み育てる期間は、どうしても時間が減ってしまう。周りから助けてもらうことが増えますよね。それを支えるのが社会の役目なんですが。パワーバランスが弱くなる感じがありませんか。

本来ならば、今は、積み上げた「信頼残高」を少しずつ引き出しながらバランスをとって乗り切る、ということが合理的だったりします。だからその「信頼残高」を若い時期からためておく、ということが大切ですよね。

そうは言っても、ベストなことばかり言っても仕方がないので、今でも「ここではない」と思ったら変えにいけばいいですし、変えようと思ったらありますので。

数字が強いとか、アウトプットが分かりやすいとか、自分のバリューが証明できる身を守るスキルを持っておくことも大事ですね。

ただ女性の場合は数値に現れにくい「コミュニケーション」強めの仕事をしている方も多いですよね。その場合は、「この人がいると仕事がはかどる」とか「この人がいれば大丈夫」という周りの評価を貯めておくことですよね。結果、会社からの評価も上がる。

(栗林)時短だから、ワーママだからということではなく、会社の中でコミュニケーションをとって「信頼残高」をためていく、ということは明日からでも出来ることですよね。

後半は、松本さんから、復職したワーママたちに送るアドバイスをお届けします!

(後半に続く)