【活動レポート】 ママボノ×MIRAIS紹介イベント「自分も育てる育休期間の過ごし方」

有意義な育休を過ごし、人生を豊かにすることを目指す・私たちMIRAISと、「ママ」と「社会」と「働く」をつなぐママボノが協力をし、イベントを開催しました。産休・育休中の方を中心とした参加者へ、自分も育てる育休期間を過ごすためのヒントをお伝えし、「自分らしい育休」について考えていただく時間となりました。真夏に開催された、熱いイベントをご報告します。

開催概要

日程:2019年8月5日(月)10:30〜12:30

会場:東京ウィメンズプラザ 視聴覚室

住所:渋谷区神宮前5-53-67


★ママボノとは・・・ 育休中や離職中の子育て女性たちが、仕事復帰に向けたウォーミングアップと同時に社会貢献活動を行える場。 https://www.servicegrant.or.jp/program/mamabono.php


2019年8月5日、歩くだけで滝のような汗が流れる、真夏の表参道で開催されました。イベント会場まで来るのも大変な気候にも関わらず、イベントへの申込は、事前に満員、当日は、参加者、関係者合わせて総勢約70名の方に集まっていただきました。参加者の多くは赤ちゃん連れでのご参加でした。 また、MIRAIS一期・二期メンバー12名によるzoomを使用してのオンラインも同時開催をしました。


第1部パネルセッション:なぜ私は育休中にMIRAISとママボノに参加したのか?


MIRAIS主宰者の栗林さんと、MIRAISに所属し自分らしく有意義に育休を過ごし、またママボノにも参加して復職した久保さん、現在MIRAISメンバーでママボノに参加している長澤さんが登壇するパネルセッションです。どんなことをテーマに育休を過ごしたのか、ママボノの経験はどうだったのかなどお聞きしています。


★パネルセッション登壇者紹介

栗林真由美

IT事業社で勤務。第一子の育休中に、「子どもがいるからこそキャリアを諦めない働き方を」という思いから、ママボノのプロジェクトリーダーを担当。また、育休プチMBA勉強会の立ち上げなど精力的に活動。復帰後、社内で初めて時短での昇格を果たす。第二子の育休中に「『なんとなく育休』をなくしたい」思いから育休コミュニティ「MIRAIS」を設立。2019年4月に復帰。


久保彩

大手OA機器メーカーのSEとしてキャリアをスタート。第一子出産後、夫の海外赴任に帯同するため離職するも、離職中に自己の成長を求めMBAを取得。帰国後コンサルティングファームに転職し、企業戦略や事業開発を担当。2018年の第二子育休中に育休コミュニティ「MIRAIS」に参加し各種勉強会などを開催。また、ママボノではプロジェクトリーダーを担当。2019年4月に復帰。


長澤美帆

東京都内の地方公務員として、お客様対応窓口や経理、財務、税務など幅広い業務を経験。「職場から長期間離れる育休の時間を活用し、自分の価値観を広げたい」という想いから、第一子育休中にサードプレイス活動を開始する。MIRAISメンバーとしての活動やママボノでの活動のほか、女性公務員の働き方を考える会の立ち上げや、ふるさと「しまね」と繋がるイベントの企画など、精力的に活動中。2020年4月復職予定。


<学び、挑戦し、共に成長し合える仲間が集まるプラットフォーム「MIRAIS」とは>

ー育休取得前に抱いていた育休のイメージは?育休中はどんなことをしていた?


栗林:第一子の妊娠時、育休=墓場であり、キャリアからおろされるイメージが強く、ショックのあまり家を飛び出しました(笑)。しかし、とある人から「育休は留学期間」と言われ、ポジティブにとらえることができ、さまざまなことに挑戦しようと思考転換しました。そのひとつがママボノです。一人目の育休のテーマを「子どもができても、思いっきり働ける準備期間」としました。そのテーマに沿ってママボノに参加することを決めました。


長澤:第一子だったので、そもそも育児をしながらの生活がどういったものか全くわからなかったですし、やはり空白というイメージがありました。実際は、子どもと一緒に過ごすのはとても楽しかったのですが、授乳とオムツ替えの連続で、何もせず終わる一日に、モヤモヤを抱えた日々を過ごしていました。


久保:一人目の育休を失敗と感じる部分がありました。近所のママとイベントを企画したりと楽しく過ごしていたので、振り返ってみれば、失敗ではないと思うのですが。ただ、復帰後に、十何年していた仕事なのに、こんなにも仕事ができないのか、ということに愕然としました。緩やかな育休から、復帰後の激流に、全くついていけなかったんです。だから二人目のときには、仕事をする自分をキープ、またはできる限り自分を向上させたい、という思いが強かったです。


ー育休のテーマと、MIRAISに入ろうと思ったきっかけは?

久保:私のテーマは、「キャリアの3本目の柱を作る」でした。私はキャリア推しの話ばかりなんですが(笑)。MIRAISに入ろうと思ったきっかけは、「育休はその後のあなたの人生に影響する」という言葉に惹かれたからです。育休は、ひと呼吸おいて、自分を俯瞰する期間。育休をその後の人生に活かすために、まず過去を振り返りました。すでに2本の柱「テクノロジー」「新しい事業を作る」ができていたので、3本目をこの期間に考えたいと思いました。


長澤:子どもと一緒にいるのは楽しいですが、少し物足りなさを感じていました。子育て以外の時間が欲しいと思い、MIRAISに入ることにしました。テーマは「ニコニコとワクワク」。育休期間に、今までにしたことないことをしてみようと思いました。ただ、活動に没頭しすぎず、家族がニコニコしているか、そして自分自身がワクワクしているかを大切にしたいと思いました。

また、「MIRAISは練習場」というキーワードにも惹かれました。公務員の業務は、失敗しないことが重要でので。失敗を恐れず、やりたいことを何でもやってみよう、という雰囲気も魅力の一つです。


ーMIRAISでの活動内容を教えてください。


久保:図書委員をしていました。毎月1冊課題図書として、育休中に読みたいお勧め本を選定し、読書会を企画していました。「転職の思考法」という課題図書には「育休中にキャリアの棚卸しをして、自分のタグを見つけよう」ということが書かれていました。実際には、自分のタグが分からない人が多かったので、「セルフラベルワークショップ」を実施しました。仲間が集まってお互いにタグをつけよう、というイベントを企画したことが印象に残っています。


長澤:プロモーションチームのリーダーをしています。リーダー自体がはじめての経験ですが、仲間と協力しながら進めています。また、パン作り部の部長で、オンラインでパンを作り合って感想を言い合うゆるい会も開催しています。


<社会課題の解決につながる「ママボノ」>


ーママボノでのプロジェクトの内容を教えてください。

長澤:7人のチームで、障害者女子ソフトボールチーム協会へウェブサイト構成の提案をしました。メンバーは、ホームページ作成未経験者ばかりです。協会の意向を汲み、メンバーやコーチにヒアリングをしながら進めました。ママボノに参加した理由は、ふだん一緒に仕事しない人と接しながら、知らない分野で何かを提供する機会がほしいと思っていたからです。また、今まで関わりがなかった障害者に関わる知識を得たいという部分も大きかったですし、自分自身が大学時代にマイナーなスポーツをしていたので、マイナー競技の盛上がりを支えたいという気持ちも強かったです。


久保:消費者団体を支えるNPOを担当しました。消費者団体は、成果が分かりづらいという課題を抱えていました。その部分を可視化することで、団体からの支援を得られるようにするという、難しいミッションでした。担当する団体は、社会課題にコミットしているという理由で選びました。ふだんの業務では利益を追求しますが、社会貢献といった違う価値観で動いている人に興味があり、自分の業務と離れているところを希望しました。


栗林:訪日外国人向けのサービスのマーケティングを担当しました。外国人旅行者へ日本の食卓という場を提供するサービスで、その受け入れ数を増やすのが目的でした。チームのリーダーをしましたが、実は一度は、育休プチMBAの立ち上げもあり多忙すぎたために断ったんです。でも、「子どもがいても思いっきり働ける自分」を作ることが育休中のテーマだったのに、断ることは自分のテーマに反しているのではないかと思いました。制約だらけの状況でマネージャーができるのは、自分にはとてもいいチャンスではないかと思い、やはりリーダーをすることに決めました。


ーママボノに参加しての感想は?

長澤:2週間に1回は直接打ち合わせをするなど忙しい日々でしたが、かなり練った提案ができましたし、仲間と一緒に作ったという心地よさを感じました。未経験のジャンルだったからこそ、視野が広がり、新たな発見もありました。障害者についての学びを得られたのも大きいです。


久保:リーダーの経験が印象に残っています。復帰後にもマネージャーをしていますが、はじめて会った部下と仕事するのが、ママボノの状況と似ています。部下が何をしたいかを引き出し、仕事を振ります。ママボノでは、公務員や銀行員、IT関連などさまざまな職種の人がいました。それぞれの強みを発見しながら進めるという状況が、仕事復帰した際の予行練習になったと思います。

また、社会課題に向き合えたことも大きいです。昨今では、社会課題の解決をしないと企業としての存続が難しい状況になっていると感じています。新規事業の企画でも、社会課題を織り込むなど、気づきを得ることができました。


栗林:多様な視点を持てるようになりました。会社にいるだけでは知ることのできない社会課題がこんなにあるのか、という気づきを得られたのも大きいですね。リーダーになるほど、視野を広げないと課題を解決できない、行き詰まると感じていたので、多様な視点を得ることは重要でした。

また、制約のある人材だけで成果を出せるのか、という疑問も解決できました。以前携わった、プロボノで成果を出しましたが、ママボノをしても、成果の質に違いはありませんでした。制約の有無は関係ない、と思えたのは自信につながりましたね。自分が時短になっても、ビビる必要がないと確信することができました。


★自分らしい育休とは何かを考えよう!

ー自分らしい育休、自分を育てる育休にするためには何が大切か。


長澤:MIRAISに入って活動することで、今までと違う経験が得られています。キャリアとは関係なく、自分の興味で動いていることが自分らしく楽しく過ごすことにつながっています。島根とつながる会や女性公務員について考える場についても、育休に入ってからはじめた活動です。今後の人生の軸を考えることができました。


久保:仕事に向き合っているとき、ある意味殺している感情、直感、右脳があると思います。育休期間には、仕事とは関係なく、自分にワクワクする直感に素直になって向き合うことが重要だと感じます。私がしたことは、この人好きだなと思える、自分の価値観に合った人に会いにいきました。育休の過ごし方を聞いたり、仕事以外にしていることを深堀して聞いたり。仕事じゃないものに邁進している人にインタビューをしました。情報収集を続けるうちに、自然と自分の頭がクリアになってくるのを感じました。おもしろそう!と思える人に会ってみるだけでも、先が拓ける気がします。


栗林:このイベントに集まった人たちは、自分らしい育休を過ごしたい人たちだと思います。また、どこかモヤモヤした課題を持っていると思います。モヤモヤしている自分がいけないわけではなく、みんな最初はモヤモヤしていました。私なんて…という本来ではない自分に囚われていることも多いのではないでしょうか。モヤモヤするのは変化の機会。一歩ずつ行動することから始まると思います。

ママボノは、視野を広げたいと思っている人におすすめしたいです。会社にいたら会えない人、気づけない社会課題、出会えない団体にあうことで、自分の世界の狭さに気づきます。異世界・異業種の人たちと課題を解決していくのは、大きな価値です。新たな何かにチャレンジしたいけど、ちょっとこわい、と思っている人にこそ参加してほしいです。


第2部ワーク&トーク:自分らしい育休とは何かを考えよう!


第1部を聞いた上で、参加者のみなさんに、自分自身はどんな育休を過ごしたいのか、改めて考えていただくワークを行いました。参加者同士がグループになってお互いの育休について共有をすることで、明日から何をしたいかを考える時間となりました。


参加者6名のグループで、それぞれの育休について共有し合いました。私のグループでは、2人目の育休の方が多く、1人目は何もせずに終わったからこそ、2人目こそ充実させた育休を過ごしたい、という方が多かったです。復帰後の仕事のできなささについてや、時短で働きづらい環境、転職をしたいけど不安など、リアルなワーキングマザーの悩みを共有していくうちに、初めて会ったとは思えないほどの盛り上がりとなりました。児童館で会うママ友とは、ここまで悩みを話せないよね、という話になり、その場で連絡先まで交換しました。

MIRAISは、キラキラした人たちが入るコミュニティと勘違いされている方が多かったようでしたが、体型を戻すためにみんなでダンスをしている話など、リアルな様子をお伝えしました。

また、メンバーの得意分野をシェアする勉強会や、お互いの業種を学ぶ社会科見学など、そのほとんどを平日の昼間に子どもをあやしながらオンライン中心で集まっています。

メンバーの住む場所は、海外、関西など、首都圏以外のメンバーも多いです。参加度合いは自分のペースで決められますし、自己実現やキャリアだけでなく、子育てや趣味、愚痴まで、何でも語り合える仲間が集まっています。業種も、居住地も全く違うメンバーですが、「育休中」という共通点だけで密に関われる、それがMIRAISの大きな魅力だと感じています。


参加者のみなさんにアンケートを実施しましたが、同じ価値観、悩みを持つ方と話せたことでパワーチャージしたという声を多くいただきました。バイタリティあふれる登壇者の方たちが三者三様の育休を過ごしている様子から、自分らしい育休を過ごせばいいんだ、という自分ごととして考えるきっかけになっている感想が多かったのも嬉しかったです。


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グループワークを終えて、ランチ交流会へと続きました。総勢46名の参加。当初はイベント参加のみの予定だった方も、やっぱり参加したい!と急遽参加される方続出。復職後の悩み、仕事の内容、子育てのモヤモヤなど、共感し合える話ばかりで、その場も大盛り上がり。はじめて会ったのに、なんでこんなに話が分かり合えるんだろう、とビックリしました(笑)。やはりこのイベントに来た時点で、何かしらの共通点や価値観の方向性が合っているのだろうな、と思いました。1人でモヤモヤ悩んでいても始まらない。MIRAISの魅力はやはり人です。同志がいるって、めちゃくちゃ心強いです。人生を楽しくすることなんて、ほんのちょっとの勇気、一歩踏み出すだけで変わるんだろうな、と改めて感じたイベントでした。


ご参加いただいた皆様、改めてありがとうございました!