【活動レポート】育休いいとも!vol.5 10年かけて築いた、幸せを諦めない自分らしい生き方とは?
★育休、いいとも!とは・・・
育休をユニークに過ごした人や、育休で人生を変えた人をゲストに迎えて、オンラインでお話をお伺いする会です。小さな子どものいる私たちにとっては、オンラインで気軽に様々な方の生き方に触れられるのは、ありがたい機会です。
【ゲスト紹介】
くれ ゆか
キャリアデザインコーチ
1978年生まれ。1998年より、宝塚歌劇団宙組男役(芸名:潮和歌)として活動。
2005年に退団後は、社会人学生として日中はパートタイムで働きながら夜間に早稲田大学で学ぶ。学卒者として20代後半から就職活動も経験する。
2010年に日本生産性本部に入職。中小から大企業まで、企業の研修プログラム企画・運営、新入社員研修講師、経営支援事業に従事。年間1000人以上のビジネスマンと出会いながら、コーチング、コミュニケーション、人材マネジメントなどを学ぶ。在職中は、二度の育休取得・職場復帰も経験。
一般的なルートに捉われない自由なキャリアを歩むが故に、スムーズにキャリアチェンジできない苦労も重ねる。そんな経験を通して、個人が自律的に人生設計を考えられる機会づくりや、キャリア形成サポートの必要性を感じる。二度の育休・復職を重ね、家族や社会と共に個人が「より自分らしく幸せに生きるキャリアデザイン」を支援したいと心に誓い、2017年6月にEncourage Houseを設立。個人向けキャリアデザインコーチング(コンサルティング)をスタート。企業・団体様のパートナーとしてキャリアコンサルティング・研修講師・個別コーチング等も行う。
くれゆかさんHP:http://encouragehouse.jp/
ブログ:https://profile.ameba.jp/ameba/yuka84k
ライター活動:Molecule(マレキュール)https://molecule.news/discussion-about-childcare/
今回の「育休いいとも!」は、元宝塚歌劇団男役として活動されていて、現在キャリアデザインコーチとして活躍されているくれゆかさんに登壇いただきました。
今回は、育休コミュニティメンバーの中から「ぜひくれゆかさんに登壇してほしい」という熱い推薦があり、そのメンバーの協力のもと実現に至りました。
くれゆかさんの宝塚時代の話から、周囲の足並みに捉われない自由なキャリアを築く苦労や葛藤、そこから本当の自分らしい人生を歩むようになるまでのプロセスや、現在のお仕事の話など、いろいろ伺いました!
レポートは、育休コミュニティメンバーによるインタビュー形式でお届けします。
くれゆかさんのこれまでのキャリアって?
1998年、20歳のときから、宝塚歌劇団宙組男役(芸名:潮和歌)として活動。宝塚に在籍をしたのは音楽学校入学も含めると丸9年。宝塚時代、5年目くらいから将来のことを考えるようになった。
このまま、一生宝塚で自分のキャリアを積んでいくことに疑問を持つ。表舞台に立つことがメインだったけれど、後輩に何かを教えたり、舞台の裏方として、人を「動かす」、「生かす」ことに興味を持ち始めるように。
ただ、宝塚しか世界を知らなかったので、「とりあえず勉強を」と思い、退団後は社会人学生として、日中は働きながら夜間に早稲田大学で4年間学んだ。
宝塚を辞めたのが26歳。大学に行って、その後社会人としてスタートしたのは30歳。
宝塚を経験して社会人、という異色なキャリアのゆえ、モデルになる人がいなかった。孤独感を感じることもたくさんあった。
就活中は、「あなたの経験と年齢がこの企業ではミスマッチ」とはっきり言われたことも。
落ち込むところまで落ち込んだけれど、
人(自分自身)が合わないのではなく、組織のセオリーや立場が合わない。
仕方のないことだと切り替えた。
「私の経験はいつか他の人のためになる」「必要になるときがくる」という思いは心にとめていた。
そんなふうに気持ちを切り替えられたのは、宝塚時代の経験があってこそ。
宝塚時代には、いわゆる戦力外通告を受けたような経験があった。出番が少なくなったりメイン以外の公演に出られない時もあり、「私はいらない存在なのだろうか」と思うような立場に立った。
つらい経験から、状況を客観的に受け止めて自分自身の課題を深く考えたり、気持ちを切りかえることの大切さを学んだ。
そんな経験から「自分のキャリアはオリジナルで作っていくしかない」とマインドをチェンジ。孤独な立場が、他人や自分自身とコミュニケーションするうえで役に立った。
宝塚から一般企業に就職するまで10年…
10年かけたって大変じゃない?
宝塚を辞めてからの10年が自分にとっての正念場だった。でも、すべての経験ー20歳で宝塚に入った経験ーが今につながっている。だから、途中で投げ出したくなることはなかった。
宝塚に入ってその後大学に行って就活をして…と、外から見ると何をしているか分かりづらいから、自分のことを「キャリアドリフター」と呼んだ。自分を揶揄して使っている面も。
「私には何ができるんだろう?」と気持ちがぶれていた時期もあったけれど、
「何をしたいんだろう」は変わらなかった。だからやってこられた。
過去は財産、そこから気づくこともたくさんある。原体験からくる大切な価値観、必ずみんなもっているはず。それを引き出すお手伝いをしたいと思った。
自己信頼を深めていけないと、理想のキャリアを描いていけない。
過去の自分の棚卸しのやり方
過去の嬉しかったこと、楽しかったこと。そのときどんな気持ちだったか、今の自分がそのときのことを客観的に見て、気づきや学びをどんどん出していく。
そうすると、気づかなかった自分の才能や強み、可能性に気づくことができる。未来に思考を転換できる。
育休中だからこそ。五感で生きている。感情豊かで、自分の気持ちに敏感になれる今だからこそ、棚卸しするチャンス。今まさに育休中の女性にやってほしい!
くれゆかさんから見る、今のワーママの悩みって?
育休は2回経験したけれど、2回目の復職後の方が悩んだ記憶がある。
1回目は日々の生活に必死で悩みすらまともに見つめる余裕がなかった。
2回目は少し余裕も出てきたので、逆に自分のキャリアについて悩むことが多かった。働き方の多様性が増えてきて、いろんな情報に触れることで、逆にそこに考えを踊らされてしまった。
そんな私のように自分はどうしたらいいかわからなくなってしまう人が多いのではないだろうか。「いろんなやり方があるのはわかった、でも私はどうしたいの?」と。
仕事を続けていきたいなら、仕事だけでなく育児、生活を含めた自分を「全体感」で見る。家族に応援されないといけない。自分の周りの満足度を高いものにしておかないと、どこかでガタがきてしまう。
周りの環境を整えよう。
4s点検とは…?
キャリアを考えるにあたって、点検すべき理論4つ。
・Situation(状況)
・Self(自分自身)
・Strategy(戦略)
・Support(サポート)
育休中の過ごし方の心得
量的な目標は持たなくていい。
気持ちの部分や周りの環境をアップデートさせ、量より質を高めることをお勧めしたい。
あれやろう、これやろうと思っても計画通りにいかないことは多いもの。
ワーママが自分らしいキャリアを築いていく上で大事なこと
本来キャリアって、自分が自分の人生をどう生きていくかということ。
仕事だけを切り取り意識の大半を向けるというより、仕事含め、全体で考える。
自分のやりたいことを見失わず、核を持つ。そうすれば何かあったときもぶれずに前に進めるはず。自分の心の声を大事にしてほしい。
焦る必要はなく、子どものとのやりとりの中でふと気づくこともある。
自分を見つめることがキャリアのスタート地点。
外的キャリア(外から見える経歴や肩書きなど)より内的キャリア(自分の思い、大切にしたいこと、何をしたいか、価値観など)が大事。
子どもが大きくなったら、自分がおばあちゃんになったら、と考えてみて。
このあと、お話を聞いた育休コミュニティメンバーとのQ&Aとなりました。
【質疑応答タイム】
Q.くれゆかさんが今までで一番感情が振れた、嬉しかったことはなんですか??
A.
・宝塚に合格したとき
・子どもが生まれたとき
Q.出産経験はくれゆかさんのキャリアにとってどんな存在?
A.自分を勇気づけてくれる存在。かけがえのないもの。
Q.なぜ、宝塚を目指したのですか?また、宝塚でのキャリアは今のキャリアにどんな意味をもたらしていますか
A>テレビを見たのがきっかけ。舞台を作り上げる裏側を見て「あんな風になりたい」と思ったのが中3のとき。最初は父から反対を受けたが、最終的には母とともに応援してくれた。
宝塚合格までの道のりは、「無理だ」と思った時点でストップだと思った。「私受かる、入る」というイメージを強く持った。
戦力外通告のようなしんどい経験もあったが、自分の存在意義を考える体験ができた。
今の人生に響いている。
Q.働くことを子どもから応援されないとき、どのように対処すればよいかヒントをいただけますか。子どもたちの将来やりたいことをかなえるため・私がニコニコできるため、など、メリットも話していますが納得してくれません
A.無理に言葉で説明しなくてもいいかも。
子どもは感覚で感じ取るもの。質問者ご自身が仕事に行くことを楽しみにしている姿を見られたら、きっと子どもにも伝わり、嬉しさやママを応援する気持ちが芽生えるのでは?
ノンバーバルなところで伝えてあげられたら。理屈で話されると子どもはきっと構えてしまうから。
Q.お仕事でコーチングセッションをしていて、至福のとき(とても幸せなとき)ってどんな時ですか?
A.クライアントの表情が変わって、明るくなったとき。行動するエネルギーが生まれて、変化を感じられたとき!
Q.何をしたいんだろう?は宝塚のときから固まっていたの?
A.宝塚時代に、それを考える重要さに気づいた。
目の前のことをこなすことに一生懸命で、どんな道に進みたいか(歌?大芝居?など)を考えられていなかった。つらい立場に立った時に、「ああ、自分の意思はとても大切なんだな」と気づかされた。
Q.起業するときにご主人家族は最初から応援してくれていましたか?起業は上海赴任がきっかけですか?
A.上海赴任はきっかけではなく、会社を辞める1年前から起業を考え始めていた。主人には少しずつ自分の気持ちを伝えていった。時間はかけたほうだと思う。
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とても印象に残ったのは、
「本来キャリアって、自分が自分の人生をどう生きていくかということ」
というくれゆかさんのメッセージでした。
「キャリア」と聞くと、どうしても仕事のことだけを切り取って考えがち。けれど、2度の出産、育児休暇を経験したことも、私にとっては長い人生の「キャリア」の1つだと。
止まってしまうものでも、断絶されるものでもない。
胸をはって進んでいけるような、前向きな気持ちになりました。
くれゆかさん、貴重なお時間をありがとうございました!
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