【活動レポート】こどもを守れる親になる~日常を防災仕様に~
1/29に育休コミュニティ2回目の対外イベント「こどもを守れる親になる~日常を防災仕様に~」が開催されました。その模様についてご報告いたします。
昨年、日本では多くの災害が発生しました。子供を守れるのかと不安になっているママは多く、防災イベントは大盛況!当日は25名の方に加え、オンラインで57名もの方が参加してくださり、熱気溢れる雰囲気でした。
講師は、「毎日のカバンを防災仕様に」と提案するあんどうりすさん。
育児グッズと防災グッズをイコールにしてしまうアイデアが大人気です。
<ゲスト講師 あんどうりす さんホームページはこちら。>
東京は避難所が足りない!自宅を避難所に
東京では圧倒的に避難所が足りません。千人単位で避難してくることが予想され、「家が全壊していない人は避難所へ来ないで」とアナウンスされることがあるそう。避難所に指定されることが多い小学校には幼児が使える遊び場が少なく、自宅にいた方が子供も安心して過ごせる利点もあります。
※公立保育園は現在ではまだ解放されない可能性が高い。私立保育園は要確認、とのこと。
災害時、普段と同じように生活できることが何より重要です。まずは自宅を見直し、家具の転倒防止対策をしたり、備蓄したり、できることから始めましょう。
母乳・ミルク問題
乳児を抱える家庭で心配なのは母乳・ミルクですよね。日本でも液体ミルクが認可され始めましたが、保存は25度以下。夏場はクーラーボックスを準備するなど保管に注意が必要です。価格の面でも現在の想定では1本100〜200円と大量備蓄にはコストがかかることと置き場所の確保が必要です。
いつも使っているものが災害時にも使えるものなので、今後の液体ミルクの報道もみながら、液体ミルクをいつも使うなら保管方法に注意して1週間分(新生児だと60回)は備蓄してください。
また、いつも使っているものが安価な粉ミルクであれば、以下のイラストの方法も検討してください。
そのためには殺菌できるようにお湯を沸かせることが重要です。100秒でお湯を沸かせるアウトドアグッズ(ジェットボイル商品サイト)もあるので参考にしてください。
【出典:教えて!ドクター】
使い捨ての哺乳瓶は400円前後するので、紙コップで十分です。赤ちゃんは舌を使って哺乳するので、コップからでも飲めます。
液体ミルクも紙コップでの哺乳も、災害時にいきなりトライするのでは心配ですよね。まずは自宅でやってみて、災害時も日常の延長で使えるようにしておくと安心です。
また、災害時にストレスで母乳が止まってしまうと誤解されていますが、母乳は吸われないと生産されなくなります。ストレスを受けると母乳をおしだすホルモンが影響を受けて、出にくくなったように感じますが、赤ちゃんに吸わせていれば出るようになるので、吸わせ続けることが大事です。
母乳には、たったスプーン一杯で300万ほどの菌を殺す成分があるので、赤ちゃんを感染症や下痢から守る事ができます。免疫力の観点からも是非飲ませてあげてください。
<「災害時の乳幼児栄養について考える」あんどうりすさんの記事はこちら>
避難所ではママが安心して授乳ができないため、文京区などではママ専用避難所が作られていますが、パパも一緒に使えないと家族バラバラになり困ってしまいます(現在、パパも避難所に行けるように、また、上の子も一緒に行けるように検討されているところです。ただ、発災後すぐ母子避難所が開設されるわけではなく、3日かかる場合もあります)。
安心して家族一緒にいられるという意味でも、自宅で避難できれば最高ですね。
保育園への働きかけ
保育園は各園の予算によって、備蓄品にかなりの差があります。
自分から保育園に働きかけて、備蓄品の確認を行ったり、アレルギー児は個人でも専用の備蓄を用意するなどの対策を。
・あんどうりすさんオススメ 7大アレルゲン不使用の防災缶詰
https://kuroshiocan.co.jp/products/stockcan_6sets/
地震がきたらどうする?!
地震がきたら、
まず火を止めなきゃ!ドアを開けなきゃ!お風呂に水を溜めなきゃ!
そう思っていませんか。
無理だと思ってください。
今心配されている南海トラフ地震は、カタカタ揺れてからドーン!ではなく、いきなりドーン!と大きい揺れが来る可能性が高いです。
まず動けません。
ドアや火のことは置いといて、まずはお子さんを見ていてください。実際、熊本地震では古い住宅が2秒で壊れました。
大きな揺れでも安心して身を守れるよう、今すぐに家具の固定を行ってください。
ベビーベッドなどキャスターの付いているものは走ってきます。小さなお子さんは潰されますのでご注意を。
窓は簡単に割れます。飛散防止のために養生テープを貼ったり、ステンドガラス調のデザインシールを貼ってもいいですが、窓枠ごと外れる事例もありますので安心はできません。
地震の時はすぐに離れましょう。
また、2才以下のお子さんがいる家庭は、お風呂に水を溜めないでください。
子供が溺死する可能性があります。
トイレ問題
災害後、水や食料はある程度我慢できますが、トイレは我慢できません。
災害時にトイレを我慢すると健康問題にもつながるので、非常用トイレは必ず準備しておきましょう。
匂いが漏れないおむつ袋や、手動ウォシュレットもあると便利です。すぐに簡単に設置できるものがいいですね。
仮設トイレの設置には4日ほどかかるとのデータもあるので、自分の分は自分でなんとかする意識で動きましょう。
また、震度5弱以上の時はトイレに水を流してはいけません。
特にマンションでは、配管が壊れて下の階で漏れ出す危険があります。漏れてしまったら下の階の住人に損害賠償請求を負います。
自分が地震保険に入っていても、下の階の人が地震保険に入っていなかったら実費で支払うことになります。
国土交通省のトイレ漫画、一度読んでおきましょう。
オススメアプリ&サイト
・長野県佐久市のドクターが作っているアプリ「教えてドクター」
・被災時にもらえるお金が確認できる「被災地支援チェックリスト」
・自宅だけでなく隣のマンションの安全度もわかる「地盤サポートマップ」
・母子手帳や健診結果を入力できる便利アプリ「マイME-BYOカルテ」
どんな時に避難するべきか
東日本大震災で多くの被害を出した津波。大きな地震があった時と弱い地震でも1分以上の揺れがきたら必ず高台に逃げましょう。
地震による津波だけではなく、豪雨時の河川の氾濫も注意が必要です。
川は絶対に見に行かないこと。川は川底の岩に水がもまれ、泡だっています。海に比べて浮力が生まれにくく、一度流されると浮いてきません。
豪雨時の避難の判断基準は下記の通りです。
・100ミリの雨なら、安全な場所へ避難が必要。
ハザードマップを参考に判断を。江東5区では、伊勢湾台風クラスの台風が来た場合、3階まで水没し2週間水が引かないことが想定されており、4階以上にとどまることも不可とされています。
・東京では50ミリで冠水する地域もある
該当するならすぐ逃げる。
事前に調べておく→東京アメッシュ
・30ミリでも前が見えないほどの豪雨なので、無理に外出しない。
または、外出中にそのような状態になったら、移動せずに最寄りの安全な場所に避難。
・短時間に集中して雨が降る豪雨でなくても、積算雨量400ミリで避難。
土砂災害が起こる。厳密には、各地のハザードマップに書いてある積算雨量の数字になったらハザードマップの通りに浸水する可能性が高いので、その前に避難。
【出典:気象研究所 研究官 荒木健太郎さん(@arakencloud)「雲の中では何が起こっているのか」】
避難のコツは、早い段階から逃げること。
一人では逃げにくいので、ママ友とどういう状況になったら逃げるのか共有し、一緒に逃げる。
避難勧告が出てからでは遅いです。子連れでは動けない状況になっていることもあります。
水害の怖いところは、まだ大丈夫だと状況を甘く見積もってしまうことです。流れが早ければ、足首程度の浸水でも体ごと流される可能性があります。
子どもが歩いて避難できるのは、水が膝から下で流れがないとき。
なので、早め早めの避難が必要です。
また、逃げる際にマンホールがあいていることがあるため、子供にはライフジャケットを着せておくと安心です。
プールや川や海で遊ぶ予定があれば、浮き輪よりライフジャケットを買うことをおすすめします。浮き輪だと外れてしまいます。
救出時、肩をつかんで引き上げるので、上半身だけのライフジャケットだと脱げることも。小学生以下は股つきのものがオススメです。
また、万が一流されてしまったら、クライミングテクニックを使い、何かにつかまってください。
手をあげる時は、「横から上にあげる」と高く届きます。前から上にあげると肩より上には届きにくいです。
<迅速に判断できるオススメのアプリ&サイト>
災害対策のおすすめグッズ
水害時、膝より下までの短い長靴は水が入ってくるので体が冷えてしまい、おすすめしません。汚物も流れてくるので濡れたくないですよね。
長くて細身の長靴を買いましょう。
野鳥の会の長靴はコンパクトに折りたためるので人気があります。小さなお子さんにはダイビング素材のウォーターシューズなんかもおすすめです。
長靴×、運動靴◯と報道されがちですが、早期に避難することが何よりも前提で、逃げ遅れた場合はどんな靴でも流されます。
・スマホの充電器
絶対に必要です。手回しのものでは今の携帯は充電できません。
ソーラーのものは雨が長いと使えないので、充電式など複数持つと良いです。
・さらし
さらしを使って抱っこやおんぶをすれば、とってもラクだし収納場所もとりません。
コツは上で背負うこと。重心が上の方が軽くなります。抱っこより肩車の方がラクにできますよね。
おへそより上になるように、抱っこ紐のお尻部分にタオルをあてるだけでもいいです。
また、さらしは密着しておんぶや抱っこが出来ます。ぶらぶら揺れると重くなるので、きっちり体を密着させましょう。子供にしがみついてもらうだけでもだいぶ違います。
さらしは、抱っこやおんぶ以外にも、下着の当て布、圧迫止血、包帯、おむつとしても使えます。
・ホイッスル
5時間以上、家具やガレキに挟まれると助かりにくくなります。早期に発見してもらえるようホイッスルを携帯しましょう。
玉が入っているものは濡れると音が鳴らないので、玉の入っていないものを。
・熱くならないライト
子供がいる家庭は両手が空くようにしましょう。懐中電灯よりもヘッドランプが便利。
・不動王
家具の固定におすすめ
・防水バック
バケツ代わりにもなり、洗濯に使えます。また、給水車に水を取りに行く時にも使用でき、紐をつけて背負えます。
普段の生活でも、使用済みオムツ・スイミング後の水着・汚れた服を入れたり、アウトドアやプールなどのレジャー時に、財布やスマホを入れて活用できます。
・断熱マット
普段リュックに入れているおむつ替えシートを断熱マットにすれば、寒い時やいざという時に使えます。
・ペット用のビニール袋
簡易おむつとして使えます。おむつは外が防水、中が吸水。布やハンカチをペット用のビニールで包んで使います。おむつは分解できるので、一度分解してどんな作りなのか確認するのもおすすめです。
まとめ
まずは家具の固定、おうちの安全性を高めるところから始めましょう!
復職後は保育園との連携も欠かせないので、万が一の際は「いつまでにどこに」迎えに行くのか情報共有しておくのもいいかも(水害時、どこの高台に避難しているかなど確認も)。
慌てず対処できるよう、日常に少しずつ防災を取り入れていけたら安心ですね。まずは何かひとつ実践してみてください。
最後に
あんどうりすさんの話は、最新の情報でリアリティがあり、具体的ですぐに実践できそうなことばかりでした。
知らないのと知っているのとでは大違い。知っておくことの重要性、また知っているだけではいざという時に動けないため、日頃の生活の中にいかに取り込むか、工夫や準備が必要だと痛感しました。
まずは、いつも持っている鞄を防災仕様にグレードアップ。そして、おうちを安全に過ごせる場所に。
防災は特別なことではなく、日常の延長で準備していきたいと思いました。
講演後のワークショップでは、3~4人で感想をシェアしました。
「防災に関しての意識が変わった」「もっと準備しなければ」という意見が多かったです。
「これから生きているうちに一度は被災する」という意見もあり、他人事でいてはいけないと気持ちを新たにしました。また、今日からすぐにできることをシェアしたことにより、生活習慣に取り入れて無理なく取りかかれると思いました。
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