【活動レポート】育休、いいとも!第3期vol.4 「復職の不安をふっとばせ!~ここからはじまる新しい未来~」

3月の「育休、いいとも!」のゲストは「最強のライフキャリア論。」(時事通信社)の著書であり、株式会社MYコンパスの代表取締役である岩橋ひかりさんです。

★「育休、いいとも!」とは・・・

育休をユニークに過ごした人や、育休で人生を変えた人をゲストに迎えて、オンラインでお話をお伺いするイベントです。


通常は参加者をMIRAISメンバーに限定しているのですが、

産育休から復職シーズンである4月を目の前にした今回は「特別イベント」として、

MIRAISメンバーだけではなく、同時期に復職を迎える全ての産育休者を対象にしたオープンなセミナーとして開催しました。


ただでさえ復職には様々な不安がつきものですが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、

通常の生活が送れない時期での復職となり、更に不安は広がる一方…。

そういった状況の中、MIRAIS内ではメンバー同士で情報交換をし、お互いに励まし合っていましたが、

「MIRAISメンバーだけが”良かった”と思えることをやるだけでいいのだろうか」

「この状況でMIRAISだからできることをやりたい」

という代表栗林の想いのもと、

少しでも多くの産育休者の方の不安を払拭し、新生活を応援できる機会にしたいと考え、

普段MIRAIS内で行っている「育休、いいとも!」を外部の方にも参加していただけるように開催し、当日は約130名の方にご参加いただきました。

対談終了後に、参加者間でイベントの感想や今後の復職に対する意気込み等を共有して、交流する機会も設けました。

【ゲスト紹介】

岩橋 ひかり

(株式会社MYコンパス 代表取締役)

2017年4月株式会社MYコンパスを設立し、女性に特化した個人向けのキャリアコンサルティング事業を開始。コミュニティ型オンライン講座「MYコンパス・アカデミー」のプログラム開発、講師育成、運営を行う他、女性向けキャリア講座やセミナーに講師として多数登壇、延べ2,000名以上の女性にキャリア支援を行っている。

著書「最強のライフキャリア論。〜人生まるごと楽しむための思考法〜」(時事通信社)


まずは、激アツの代表栗林と岩橋さんの対談の様子からお届けします!

――お名前を体現するような、明るくてアクティブな印象のひかりさん。

ご自身の育休はどう過ごされたのでしょうか?

私は2010年に第一子、2014年に第二子を出産し、それぞれ育休を取得しました。一人目の育休から10年、世の中の状況はがらりと変わりました。10年前は会社員でしたが、その時はここまでワーキングマザーが一般的ではなく、公民館のママ向けの集まりでの会話内容は、「出産しても仕事を続けるか」「やめるか」の2択。当時の私は仕事をやめることは考えてはいないものの、どちらかと言うと育児がメイン。自然派思考で、オーガニックやナチュラルクリーニング等にも興味がありました。


――意外ですね。

それから職場復帰をして3年ほどワーキングマザーを続ける中で色々と葛藤し、このまま今の組織で働き続けることに違和感を感じるようになり、二人目の時は育休をその後の人生を考えるための時間にしようと過ごしました。

また、第二子の育休中にインターン活動を開始しました。近年は育休中に何か活動することがブームになっていますが、当時は育休中に育児以外の活動をすることは一般的ではありませんでした。私はキッズライン社での育休インターンを経験し、それが後に日本初の育休インターンと言われ、同社においても今では定期的に募集しているほど定着していますが、それもまだ5年程度前の話。世の中の状況は、ここ数年で劇的に変化しているのです。


――振り返ってみて、ひかりさんにとって育休は何でしたか?

私は育休期間を自分なりのテーマをもって過ごしていたので、育休は人生における変化のターニングポイントとなりました。変化が起きたという受動的なものではなく、変化を起こそうとして能動的に行動をしました。

ただ近年の風潮を見ていて懸念していることが、必ずしも育休中に何かをしなければならない、という訳ではありません。そういった人が増えている為、焦ってしまう人もいるかもしれませんが、子育てに没頭するも良し、何もしないで過ごすも良し。育休中に何かする人は、何かしたくてしている人であって、無理してやらなければならない訳ではありません。子育てしかやってこなかった、と委縮する必要はなく、子育てだけでも十分に素晴らしいことなので自信をもっていいことです。最近だと副業を解禁する企業が増えていますが、そのように聞くと副業しなければならないと捉えてしまう人もいますが、副業をしなければならない訳ではないです。

私の場合は、学生時代に適性のある職業についての考えが浅かった分、このタイミングで職業選択を改めて考える機会になりました。

――ずばり育休は「転機」でしょうか?

著書にも記載した通りですが、「転機」とは①役割、②人間関係、③ライフスタイル、④考え方、の4つのうち1つ以上が変わることが転機だと言われています。ただ、転機というのは自分から仕掛けていくものであって、自律的に転機となるように仕掛けないと転機とはなりません。育休中であろうが復職のタイミングであろうが、待っているだけでは何も起きません。仕掛けるか否かであり、自分次第です。

このセミナーに参加する事についても、ただ参加しただけにするか、これを転機として行動するかは、やはり自分次第です。このコロナウイルス蔓延の環境下で復職することについても同様です。


――どうしたらこんな状況(新型コロナウイルス拡大が懸念されている中)でイキイキと復職できますか?

正直、こんな状況下で「イキイキと」というのは無理ですね(笑)。

復職に対する理想を描いていると、そのギャップに苛まれるかもしれません。世界的に深刻な状態で、皆がこれまで経験した事のない不安を抱いている状況ですから。

私は一人目の育休からの復職がちょうど東日本大震災の発生直後で、会社の総務・人事もパニックになっている状況でした。今はその時と同様に、世の中全体が大混乱の渦中にいる状況、皆が日々生きることだけで精一杯な状況なので、会社の人が多少冷たい対応だったとしても仕方のないタイミングと捉えるしかない、落ち込む必要はないと思います。このような時期に復職できる職場がある、子供を預けられる保育園があることに感謝して、イキイキとは難しいので、自分は自分と割り切って淡々と復職していくと良いと考えます。


――復職後、気を付けた方がいいことありますか?

特に一人目の場合、初めてワーママとして働き始める事になるため、以前と比較すると想像以上に忙殺され息苦しくなる事があると思います。私も一人目の復職時はあまりに疲れすぎて、復職後半年間に40℃の熱が3回も出たほどでした。

日々の生活を回すことで精いっぱいで、あまりに疲れすぎて、自分の感情が鈍麻している事に気がつく余裕すらなくなっている事もあります。日々目まぐるしいからこそ、立ち止まって自分を顧みる時間が大切です。


――自分に余裕が無いと、子どもにもダイレクトに影響を及ぼしてしまうこともありますね。生活を回すことに精一杯になりますが、通勤時など一日数分でも自分の感情を見つめる時間を持つことは大事ですね。

私の初めての復職の頃から10年経ち、育休からの復職に関する情報やノウハウが大量に溢れかえる時代になりました。

自分がどうしたいかという軸がないのに、手段や方法ばかりがフォーカスされ、情報に振り回される可能性を懸念しています。


――それでは、この未曾有の危機の中で復職を迎える参加者へのメッセージをいただけますか。

小3の我が子は震災当時の状況はもちろん覚えていないので、「その時僕はどうしていたの?」と聞いてくるのですが、今の私だからこそ、子供に語ることができます。今日のこの状況も、いつかご自身の子供に語り継ぐ日が来るでしょう。なので、この不安な状況をどう乗り越えたのかをぜひ記録しておくと良いと思います。


【質問タイム】

――【質問①】職場の人とのコミュニケーションを円滑にする方法などありますか?

キャリアコンサルタントとなった今の私から言えるのは、相手の特性を見極めてそれに応じた対応をすると良いということになりますが、ワーキングマザーであった当時の私は、いわゆる「報・連・相」を大事にしていました。自分ひとりで仕事を抱え込んで急に休むと、チームメンバーは困ってしまうので、自身のToDoリストを共有していました。


――タスクが可視化されているとメンバーは安心ですよね。

子供の体調も併せて共有していました。熱がやや高いから保育園を休みそう、という予兆を共有しておくだけでも、やはりその後の対策がしやすいからです。皆さんもぜひ実践してみてください。


――【質問②】周囲から育休=キャリアの中断と捉えられてしまうことが辛い。どのような気持ちで過ごせばよいでしょうか?

まず、そのように見られてしまっていると本人が思い込んでいるだけ、という可能性もあります。上司の表面的な言葉尻を捕らえて被害者的な方向に解釈するか前向きに解釈するかは自分次第です。また、中断ではないとアピールすることも大切で、育休中にも関わらず様々な活動をしていたと話すと、きっと驚かれるはずですよ。


――【質問③】夫が1年以内での地方転勤の可能性があり、その場合に帯同するか単身赴任してもらうかを悩んでいます。復職した時に上司に転勤の可能性があることを言うべきか否か。アドバイスをください。

自分でコントロールできない範疇の事象ではあるものの、まだ可能性の段階で意思決定するまでに時間がある状態なので、自分の意思でどちらにするかを考える猶予があるといえます。自分で納得した上で方向性を決める必要があります。他人の意見を鵜呑みにすると、被害者妄想に苛まれて、自分も周りもみんな辛くなります。著書に記載したワークは遠回りに感じるかもしれないけど、自分の納得できる結果を得るための手段といえるので、良かったらやってみてください。


――【質問④】第一子育休からの復職を前にして意気込んでいた所に計画外の妊娠が判明。復職してもまた数カ月後に産育休を取得することになるため、職場の人の目が気になってしまい不安が大きくなっています。こんな私にアドバイスをください。

まずは、おめでとうございます!

戻って半年で妊娠しようと、1年、2年で妊娠しようと、ある程度大きな組織であれば、職場の人からしたら大差ないという感覚を持つと思われます。子供がいる事の制約や早かれ遅かれまた妊娠出産する事を予め想定しているはずだからです。この状況下だから、むしろ心配してくれると思うので、気にしなくていいと思います。体に気を付けて、がんばってください。




対談終了後は、イベントで使用したオンラインシステム「ZOOM」のブレイクアウト機能で4人程度のグループに分かれ、①自己紹介②今日の感想のシェアを行いました。

参加者からは、「復職に向けて背中を押してもらった」「転機は自分で仕掛けるものという言葉が印象的だった」など、沢山の前向きな感想をいただきました。

私が印象的だったのは「自分の感情と向き合う時間を作ること」でした。ひかりさんがおっしゃるように、職場復帰すると仕事と子供と家事で手一杯になり、自分のことは後回しになりがちです。でも、やらなければならない事に追われるばかりだとストレスがたまり、笑顔がなくなり、人間関係や仕事にも影響が出てしまいます。自分の人生の主人公は自分自身。だからこそ、毎日自分の感情と向き合う時間を5分でもいいので作って、自分の状態を知ることを習慣にしたいと思いました。


復職してからの不安に加えて、新型コロナウィルス感染拡大の影響など不安が多くありますが、全国で復職を迎えた皆様の生活に少しでもヒントとなるものがあればうれしいです!このレポートを「転機」に、みなさんの新生活がより良いものとなるよう応援をしています!


(文責:ひらしー、のむよ、くみ、まち)